桃太郎の舞台といわれる岡山県には鬼が住んでいたと言われる場所があり、さらに鬼を神様として祀る神社まであるのです。近年の調査によって桃太郎に出てくる鬼の正体がわかってきたようなのです。それでは、桃太郎鬼退治伝説の謎をひも解いていきましょう。
岡山県の鬼伝説がある場所
桃太郎は全国に伝説が残されていますが、特に岡山県がたくさん鬼伝説がある場所があります。鬼ヶ島のモデルと言われる鬼ノ城(きのじょう)、鬼の血を吸った血吸川、吉備津神社(きびつじんじゃ)、鬼の酒盛り岩、鬼の昼寝岩、鬼の差し上げ岩、鬼の釜、鬼ヶ嶽、鬼ノ身城跡、鬼の手形岩などがあります。
桃太郎の鬼退治伝説のもとになった事件とは?
岡山県にある吉備津神社(きびつじんじゃ)に鬼の伝説が記された史料「鬼城縁起(きのじょうえんぎ)」(の写し=鬼城縁起写)が保管されており、これが桃太郎の鬼退治伝説のもとになった史料なのです。そのなかみは今からおよそ1700年も前にあった事件のようなのです。
その昔(西暦300年頃)、吉備地方には温羅(うら)という鬼がおり、人々はその鬼に支配されていました。そんな鬼に果敢に立ち向かったのが、吉備津彦命(きびつひとのみこと)です。巨大な体と怪力を持つ鬼に苦戦したものの、吉備津彦命(きびつひとのみこと)は鬼の首をはねて鬼退治に成功しました。しかし、鬼はなんと首だけになってもうなり声をあげ続けたというのです。鬼の首は吉備津神社内のかまどの下に埋められたというのですが、現在も鬼のうなり声が聞こえると言い伝えられています。
吉備津神社(きびつじんじゃ)には、祈願したことが叶えられるかどうか釜の鳴る音の強弱で占う鳴釜神事(なるかましんじ)があります。釜の上にせいろを置きお米を入れて炊くと、ヴォーという鬼のうなり声が聞こえてくるのです。そのうなり声は大小・長短お願いをして祝詞を上げるごとに異なり、その音が大きく豊かになれば吉、ならなかったり途切れてしまうと凶のお知らせと言われています。
桃太郎の鬼の正体と隠された真実とは?
手がかり1
岡山県総社市(そうじゃし)に古墳時代後期のものと考えられる千引カナクロ谷製鉄遺跡(せんびきかなくろだにせいてついせき)があります。ここには製鉄技術があった痕跡があり、日本最古の製鉄所跡と言われています。製鉄技術はとくに朝鮮半島から伝わったと言われています。
手がかり2
鬼が住んでいたと言われている鬼ノ城(きのじょう)の石垣は、大量の土砂・石を使った朝鮮式建築技術でつくられています。
鬼の正体として考えられるのは・・・
上記のてがかりから、千引カナクロ谷製鉄遺跡(せんびきかなくろだにせいてついせき)と鬼ノ城(きのじょう)は、外国人とつながりがあった可能性が指摘されており、鬼の正体はどうやら外国人の可能性がでてきました。近現代までの史料を調べると、日本にも漂流者が昔から多くおり、日本では漂流者を鬼と呼んでいたのです。外国の人、とくに攻めてくる人を鬼と表現して、排除することを正当化しようとしてきた歴史があるのです。
実は吉備(岡山県)地方に伝わる伝説では、西暦300年頃朝鮮半島から渡ってきた人々が住み着いていて、そのリーダーは温羅(うら)という人物でした。温羅(うら)達が持っていた製鉄技術などの最新技術を狙って、当時の日本の政権が戦争を仕掛けたとも言われています。当時の人々は温羅(うら)達を鬼と呼んで倒したものの、その祟りを恐れて神様として祀ったのかもしれません。
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