学校の怪談で有名なトイレの花子さんの人気の秘密とは?学校の怪談の始まりは、学校の七不思議だった!

学校は昔から、恐ろしい話が伝わる場所です。トイレに現れる幽霊、理科室の動く人体模型、深夜の音楽室に鳴り響くピアノ、みんなが知っている定番からその学校にしかない珍しいものまで学校の怪談は数限りなく奥深い世界です。

学校の怪談とは、学校をめぐる怪しい噂話で、トイレの花子さんや走る二宮金次郎などが有名です。子どもたちをひきつけた魅力は何だったのでしょうか?ブームを過熱させたのは、全国の子どもから集められた1万もの怪談話で、そこには恐ろしい怪奇現象を呼び出すための謎めいた儀式もありました。学校の怪談についてひも解いていきましょう。


トイレの花子さん

学校の怪談の最大のスーパースターが、トイレの花子さんです。

学校のトイレで3回まわり、「花子さ~ん」と呼ぶと、「は~い」と返事が返ってくるなど、生徒が呼びかけると返事をするシンプルですが、さまざまなバリエーションが存在します。

「花子さん、遊びましょう」とみんなでお誘いするパターンや、「花子さん、ごめんなさい。」というと「いいのよ」と慰めてくれるパターンまであります。なぜ花子さんは学校の怪談の中でも特別な人気者になったのでしょうか?まず、子どもたちにとっては、自分たちと交流ができる等身大な怪異(かいい)というのが魅力の一つです。呼び出すと出現するというパターンが多く、実際に子どもたちがそれを実践してみようということになって、自分たちが体験できる、呼び寄せることができる「体験型の怪異」というところが、子どもだちに魅力的なのではないでしょうか。


学校のここが異界だ!ランキング

学校の怪談話が多くある場所のランキングを見ていきましょう。

第10位:職員室

生徒が入りにくく、秘密が隠されていそうな場所です。

放課後、誰もいない職員室に掛かってくる電話。通りがかった生徒がそれをとると、「もしもし、私メリー。今あなたの後ろにいるの。」・・・

第9位:保健室

第8位:プール

夜のプールで泳いでいると、引きずり込まれる。。。

第7位:林間学校などの宿泊施設



第6位:運動場

夜の運動場軽い足取りで走るその人は、二宮金次郎の像。。。

第5位:体育館

第4位:通路(廊下、渡り廊下、階段)

一般的に農村などでは道に道祖神、塞(さい)の神やお地蔵さんを置くことで、外部からくるものにバリアを設定する特別な場所なので、これと同じかもしれないですね。

そして学校の怪談では、階段の段数が増えたり減ったりする話はありますが、古典的な怪談(お寺や神社の階段の段数が増えたり減ったりするという話)にはないので、こちらは学校の階段独自の怪談話のようです。


第3位:普通教室

生徒が最も長い時間を過ごす日常空間、そんな退屈で安全そうな場所が異界とつながるには、秘密の儀式(条件づけ)が必要です。秘密の儀式を行い、ちょっと景色を変える、非日常的な空間に切り替えることで、見慣れた風景が一変するのです。怖さもリアルに命の危機が迫っている状況だと楽しさは発生しないのですが、安全が確保されている見通しがあるうえでの恐怖は楽しみを発生させるようです。

午後4時44分44秒ちょうど、自分のクラスで机を4つ丸型に並べ、その内側で4人で手をつなぐと、四次元に空間に連れ去られてしまいます。

放課後夕方5時まで教室に残り、教室のすみを「い~ち、に~い、さ~ん、よ~ん」と言いながらたたいていくと、4番目のときたくさんの手が出てくるのです。

先生の幽霊

春休みが終わって新学期、学校は外壁も廊下も、そして教室もきれいに色が塗り替えられていました。ところが、ある教室の白い壁の一部が黒くなっています。洗剤で拭き掃除をしてもそのシミは消えないどころかますます大きくなり、そして血を流している女の人のようなシミになりました。用務員さんにそのシミを白いペンキで塗りなおしてもらったとき、用務員さんが不思議な話をしてくれました。30年くらい前のまだ校舎が木造だったころ、教育熱心でいつも夜遅くまで働いている若い女の先生いました。ある日の夜中、用務員さんは終電の時間が近いことを若い女の先生に伝えに教室に行ったところ、その若い女の先生は血を流して亡くなっていました。病気で苦しみ助けを呼ぶために壁伝いに歩いたようで、壁にも血がついていました。それがちょうど今の黒いシミが出来ているあたりで、用務員さんにはその黒いシミがその若い女の先生に似ている気がするというのです。


第2位:特別教室(音楽室や理科実験室)

音が出るものや、人体模型や骨格標本など特別教室は、子どもたちの日常に変化を与える小道具にあふれている場所です。

人のいない音楽室では、ピアノの音が鳴り響き、壁に掛けられた肖像画からショパンとベートーベンが飛び出してきて口喧嘩を始める。。。一方理科実験室では、すすり泣く人体模型。心臓の部品が抜けているので買って入れてあげると、泣き止む。。。


美術室:首を絞めるモナリザ

静岡県の中学校の話です。ある女の子が宿題の絵を描くための絵具を学校に忘れ、夜9時過ぎに取りに行きました。真っ暗な美術室で手探りで明かりのスイッチを探していると、不気味な笑い声が、何者が首を絞めようとします。女の子はビックリして振り返ると壁に掛けられたモナリザが手を伸ばし、女の子の首を絞めているのです。女の子は近くにあった花瓶を掴んでモナリザの手を花瓶で殴り美術室を飛び出しました。

翌朝その話を友達にしてもなかなか信じてもらえなかったので、女の子は友達と一緒に美術室に行って確かめることにしました。例のモナリザはいつも通り壁に掛かっていました。しかしモナリザの手には、殴られたような傷跡が残っていたのです。

第1位:トイレ

狭く、薄暗く、たったひとりになる場所。仕切りの壁、見えない空間が存在するその不安や心細さは、まさに異界の扉。トイレの花子さんにくらべ、男子トイレの幽霊(タローくん、ヨースケくん)の人気ないのは個室が少ないからかもしれません。

 

どうやら非日常を感じる場所では、積極的に怪談を楽しむ一方、日常的な場所ではわざわざ条件付けをして怪異を呼び出すことで、子どもたちは毎日過ごす学校を怪異を楽しむ空間へとつくりかえているようです。


学校は異世界に繋がっている!?

その1:消える

東京の郊外の小学校に伝えられている話です。毎年この学校では「バスケットゴールの下で絶対に転ばないように」と注意されます。なぜかというと、数年前5年生の男の子がシュートをした後、バスケットゴールの下で転ぶとその男の子は消えてしまったというのです。どうやらバスケットゴールの下には人間には見えない穴があって、他の世界に繋がっているらしいのです。

その2:出現する

カシャカシャさま:京都府T市小高い丘の上の中学校の校庭の片隅の祠(ほこら)をみんな「カシャカシャさま」と呼んでいます。その理由は、夜になると甲冑を着た大きな武者がカシャカシャと追いかけてくるからです。実は学校の敷地は戦国時代は砦(とりで)で、そこで戦死した武者が祠を通って現れるのだそうです。

学校の怪談と民俗学

実は学校の怪談は、民族学者の常光徹さんや、米谷陽一さんら日本民話の会が収集した話なのです。民俗学は農村や山村に行って尋ねる学問のイメージが強いのですが、1990年前後から「都市民俗学」という新しいジャンルが日本に知られました。学校の怪談は、都市民俗学からみれば格好のデータの収集場所なのだそうです。

農村や山村でお化けのお話をしてくれる人は、おじいさん、おばあさんや和尚さんですが、そういうポジションになるには何十年もかかります。しかし、小学校の場合は5年でそのポジションにつけ、怪談話をした5年生は翌年には卒業するので、真偽を確かめようがないのです。1年生の時に聞いた怪談話を新入生に話していくということを繰り返すことが、面白い話だけが残っていくプロセスになっているのです。学校の怪談は、農村や山村に比べサイクルが早いので、怪談が完成形に近づいていくシステムが出来上がっていたと考えられます。


一番古い学校の怪談とは?

日本で学校制度が始まったのは明治時代で、法律に基づいて各地に小学校が作られ子どもたちが集まる空間が生まれていきました。明治35年熊本県で学校の怪談の最も古い事例が記録されています。

八代郡にある尋常小学校の便所の一つは、下から手が伸びてきてお尻をなでるという。子どもたちは夕方便所行きたくなっても、我慢して家に走って帰ったというものです。

また、明治45年岩手県遠野地方で記録された怪談は、村の小学校の運動場で遊ぶ子どもたちの中に見知らぬ子が一人いて、体操のときなど人数を点呼すると、どうしても余計な番号の声がしたというものです。

どちらの怪談の出どころも、地元の古くからの伝承です。八代は河童の伝説が数多く残る土地です。昔々、夜民家の厠(かわや=便所)で家の者が用をたしに来ると、肥がえツボに隠れたガワッパが尻をなでるイタズラをしたという八代の河童伝承があります。

また遠野地方で知らない子どもが現れる話といえば、民家に現れる座敷わらしが有名です。

学校ができて間もない時代、子どもたちはまだ学校独自の怪談を生み出してはいないようです。


学校の七不思議

地方から中心都市部に学生が集まる高等教育学校では、新たな動きがあらわれました。寄宿舎で共同生活をする10代後半の若者たちが、学校独自の怪談を生み出したのです。昭和17年青森師範学校の記録では、先輩から後輩に「学校の七不思議」を語り継ぐ伝統があったと言います。そこでは、あかずの便所、十三階段、鳴り出すピアノなど、後に定番となる学校の怪談が語られる一方、この学校独自の怪談もありました。

アミダ寺の怪:夜中、学校の裏のお寺で墓を掘り起こし何かを食べている学生おり、友人たちが隠れてみていると、「お前たち!見たな!(おめだぢ!わばみだな!)」と振り返ったというのです。

やがて、戦後になると、学校は大人数で朝から夕方まで一緒に過ごす空間として、子どもたちの社会の中心なっていきました。戦後特にひろがった怪談が、「赤い紙 青い紙」です。

一人でトイレに入ると紙がない、すると上から「赤い紙がいい?青い紙がいい?」声がきこえ、ここで「赤い紙」と答えると赤い紙が落ちてきて、それを使うと体が血まみれで真っ赤になって死ぬ。「青い紙」と答えると青い紙が落ちてきて、それを使うと体中の血が抜かれ真っ青になって死ぬ。

というものです。怪異が質問をして子どもが答える階段です。この構造を分析すると、挑発(問いかけ)、反応(問いかけに対する色の選択)、結果(血を伴った被害)という3つの大きな形態的な構造に分かれます。この挑発、反応、結果という構造は、昔話や民話によくみられる形式です。子どもたちは無意識に、民話の形を取り込みながら、新しい怪談を作っているのです。

昭和40年代になると、怪異に対する子どもたちの反応が進化していきます。赤い紙がいい?黄色い紙がいい?青い紙がいい?」挑発の声に黄色が加わり選択肢が増え、赤や青を選ぶと以前と同様に死んでしまうが、「黄色い紙」と答えると命が助かるというものになりました。殺される選択肢だけでは、ただ怖いだけの噂ですが、そこに救われる選択肢を加えることで、どれを選べば正解か、子供たちがゲーム感覚で楽しめるものへと進化しているのです。


学校の怪談ブーム

1990年代日本を席巻した学校の怪談ブームは映画やテレビを巻き込んで始まりました。その原点は2つの出版社から次々に出版された子ども向けシリーズです。怖い現象の噂話を生々しく並べたシリーズと、まるで民話のような怪談をじっくり読ませるシリーズです。本にアンケートハガキを入れて、読者から学校の怪談を募集したところ、3年間で1万通を超えるハガキが送られてきたそうです。続々と集まる学校の怪談をもとに2つのシリーズは累計500万部以上のブームを起こしました。

昔話のお寺や神社に出てくる怪異と違い、学校の怪談は学校という知っている場所が舞台になっており、リアリティが増すことから怖さが増すのかもしれません。


進化したトイレの花子さん

1990年「学校の怪談」最初の巻では、「花子さ~ん」と呼ぶと「は~い」と返事はすれども姿はみせませんでした。1992年に出版された本では、花子さんは突如攻撃的になります。「花子さん、遊びましょう」というと「首ころさ絞めごっこをしましょう」と首を絞められ殺される。体育館の女子トイレで「花子さ~ん」と呼ぶと「どこがいい?」と返事が返ってきてトイレのドアを開けると腕などが切られると変化していきました。これは子どもたちが花子さんに求めるものが変化してきた影響と考えられます。「”花子さん”というものが出てくる」と語られてきたのが、子どもたちが話す内容を大人たちが研究で取り上げて学校の怪談の投書を子どもたちから募った際に、子どもたちがスリルを求めていったり、刺激的な話の方が怖さと隣り合わせの楽しさを求めて「攻撃をする花子」さんに変遷していった考えられます。その後も花子さんは時代に合わせ変化を続けます。

そして花子さんは、他の怪異から救ってくれる存在に変わっていき、エンターテイメント要素が加わってきました。

1994年放送のアニメ作品では、困ったときに呼べば現れる子どもの味方のスーパーヒロインとして描かれました。それによって自分たちが語る怪異というよりも、見て楽しむ消費して楽しむものに変化していったのです。

1995年には映画「トイレの花子さん」では、姿が見えない不気味な存在だけれど、危険に陥った子どもの声にこたえ陰から助けてくれる存在として描かれました。


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