直観、直感そして、ひらめき、具体的にどんなものかわからないけれども、よく耳にする言葉ですよね。色々な方がこれらについて語ったものをまとめました。
直感とひらめき
池谷裕二著『脳には妙なクセがある』によると、直感もひらめきも、「ふと思いつく」という状況は似ているが、ひらめきは、思いついた後にその答えの理由を言語化できるが、直感は本人にも理由がわからない確信という点で異なるとのこと。
直感がはたらくとき、脳内で何が起きている?
理化学研究所田中啓治氏がプロ棋士とアマチュアの詰め将棋の際の脳の使い方の差を比べ、通常思考は、大脳皮質(前頭連合野と頭頂連合野)が活動するが、プロ棋士のみ大脳基底核も活動していることを発見した。
大脳基底核は、カンブリア期には生物に備わっていたという説もある進化的に古い脳で、(より良い)行為の選択、行為を自動化の学習(自動的ない行為=習慣)や、情動にも関わっている。大脳基底核は、情動を使いながら選択をしている可能性も考えられる。
脳内で起きていること
人は経験を大脳皮質に蓄え、その情報が大脳基底核に送られ、淡蒼球で情報が抑制され、線条体が情報の一部を大脳皮質にリリースされ、これが直感となる。
直感は鍛えられるのか?
田中氏が詰め将棋未経験者を対象に実験を行い、経験を積む(練習問題を繰り返し解く等)ことで直感を鍛えられるとしている。
ひらめきが生まれるときとは?
京都大学苧坂直行氏によると、心の散歩(マインドワンダリング)がひらめきを生む。
人間らしさを生み出すための遊び脳状態を、デフォルト・モードとよぶ。デフォルト・モードは、前頭前野(心や精神を司る)の内側及び、後部の帯状回と(下部)頭頂小葉の一部が盛んに働いている。
様々な記憶や感情が浮かんでくるマインドワンダリングという現象がおきたとき、そのときにふとあるアイデア同士が偶然組み合わさり新しい何かを見つけると考えられている。
ひらめきを生みやすい場所とは?
北宋の欧陽脩(おうようしゅう)が、文章を考えるのに適した場所として、馬上枕上厠上(ばじょう ちんじょう しじょう)の三上に在ると友人に語った『帰田録』。
馬上とは、馬に乗っているときのこと。今でいえば電車や車に乗っている状態かと思います。
枕上とは、ふとんに入っているときのこと。
厠上とは、トイレに入っているときのこと。
エルキュール・ポワロ
アガサ・クリスティーは、小説『アクロイド殺し』で名探偵のエルキュール・ポワロに「女性というものは驚くべき生き物なのです。女性は無意識のうちにささいなものを観察し、潜在意識で一つにまとめあげる。それが直観と呼ばれるものです」と言わせています。
勝負師と経営者が考える直観とは?
『運を支配する』桜井章一・藤田普著(幻冬舎新書373)では、「直観」について以下のように書かれています。
桜井章一(さくらいしょういち)氏
麻雀を通じて人としての道を後進に指導する「雀鬼会」をはじめ「雀鬼会」会長
直感を鋭くするには、理性的な作業、つまり考えることをどこかであえて捨てるという行為も必要だ。たとえば考えることをやめ、対象をぼわっとただ見つめていると、感じる力は下のほうから徐々に立ち現われれくる。
運は、表面からはっきりと見えないもの、すなわち流れ、タイミング、チャンス、雰囲気、意識されない感情の動きといったものをどれだけ感じ取れるかで大きく変わってくる。直観と運の関係とはそういうことなのだ。
藤田普(ふじたすすむ)氏
株式会社サイバーエージェントの社長
人間が4人で行う麻雀の勝負には、「押す」か「引く」かを判断するだけでも、その心理を含めて無数の要素が複雑に絡み合っており、合理的な知識やデータだけでは割り切れるものではありません。刻一刻と変化する中で、素早く「状況を判断する力」が麻雀では問われます。全体を冷静に俯瞰していないと、答えのない堂々めぐりの世界で迷い続けるようなことになってしまいます。迷わないようにするには直観で対象をとらえていくことが鍵を握ると思います。
経営もまったくそれと同じで、常に「状況を判断する力」が問われます。刻一刻と変化し、さまざまな利害関係のある人が絡み合う、その複雑怪奇なビジネスの姿を正しくとらえるには、最初に直観で判断することが大事です。
桜井さんのように僕も「直観の9割は正しい」と感じています。ただ、直観というのは、邪念が入ると狂います。客観的にみると勝負所ではないのに、焦りの気持ちから「ここで早く勝負したい」と思ったりすると、おかしなことになる。
一方で相手に勝ちたいとか、早く自分のものにしたいといった邪念を取り払った上で降りてきた直観は、ほぼ間違いありません。
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