北アルプスと立山の不思議とは?北アルプスと立山は日本の他の山とは違う?神秘的な天空の観光地 立山には極楽と地獄、そして温泉がある!

富山県の立山連峰(たてやまれんぽう/立山)は、飛騨山脈(北アルプス)の北部、中部山岳国立公園の雄大な群峰・連峰群です。立山の中腹にポッカリとあいた観光地が室堂平(むろどうだいら)で、富山市内からは2時間30分ほどです。夏でも雪が残っているくらいですので、観光シーズンは4月から11月までの約8か月です。

富山県の立山は3000m級の山々に囲まれた天空の観光地、美しい景色の数々、四季折々の絶景に目を奪われます。私は天然記念物の雷鳥は見たことはないのですが、立山で遠くに子熊を見かけたことがあります。今回は美しい自然のある立山について、ひも解いていきましょう。

概要

立山の火山活動によって形成された平地が、室堂平(むろどうだいら)と弥陀ヶ原(みだがはら)溶岩台地です。室堂平の標高は標高2450mで、上には雄山の山頂に小屋と左側に祠(ほこら)が見え、下には富山市の町並みと海が見えます。弥陀ヶ原溶岩台地は、標高は2000m付近から一面に広がる平地です。


立山には極楽と地獄がある!?

立山は古くから「地獄と極楽がここにある」と信じられ、神秘的な場所として人々の人気を集めている場所で、富士山、白山と並び日本三霊山として山岳信仰の対象になっていました。立山の信仰の歴史は古く、飛鳥時代までさかのぼるとも言われています。剣のように鋭い岩峰が「地獄」に、主峰の雄山は「極楽浄土」の象徴とされました。そして江戸時代になると、加賀藩は立山信仰を厚く保護し、峰本社の修理・造営、山中の宿泊施設や橋の架け替えなどを積極的に行いました。また、岩峅寺や芦峅寺の人々は全国に出向き、「禅定」と呼ばれる立山信仰を広める活動を行うようになります。その際に紹介したのが、地獄や極楽、立山開山の伝説が描かれた「立山曼荼羅」(吉祥坊本 1866(慶応2)年)です。そのため岩峅寺や芦峅寺は、参拝者が泊まる宿坊の町としても栄えるようになりました。

こうした信仰登山の拠点になっていたのが室堂平です。室堂平の西端、雄山を望む崖の中腹に洞窟、玉殿窟(たまどののいわや)があり、奥行きは約4mあります。立山開山の聖地と伝わり、その開山縁起によれば、国守の子であった佐伯有頼(有若)は白鷹と熊に導かれ、この岩屋の中で立山権現の化身である阿弥陀如来と不動明王から立山開山のお告げを受けました。その後、有頼は名を慈興と改め立山を開山したとされ、立山曼荼羅にはこの様子が必ず描かれます。


立山の室堂平はどのようにできたのか?

高い山のすぐ脇は谷筋が走っていたり、尾根筋が走っているのが通常です。しかし標高約3000mの山に囲まれ、標高約2500mの室堂平の所だけが平らという地形はとても不思議です。この神秘の絶景はどのように生まれたのでしょうか?

まず、4万年前3000m級の山が噴火し、流れ出た溶岩が室堂平一体を埋め尽くし、平らな地形をつくり出しました。噴火した山は、その後崩れ現在のその姿はありません。

そして室堂平にはかつて活発だった火山活動があり、ミクリガ池で水蒸気爆発が起きました。ミクリガ池は火口だったのです。ミクリガ池での爆発が起きる前に平らな地形ができていた、この順番がこの地形を作り出したのです。順番が逆であれば、ミクリガ池は埋め尽くされていたはずです。

室堂平のシンボル、ミクリガ池は空の色を映し込んで神秘的な色をしています。ただ平らでもすごいことなのですが、室堂平の景色でミクリガ池が良いアクセントになっています。

奇跡的なタイミングと場所で、火山・爆発が起こり室堂平がより神秘的な空間になっていったのですね。自然が起こした奇跡が、昔から立山に人々を引き付ける魅力をつくったのですね。


日本最高所の温泉「みくりが池温泉」

ミクリガ池付近には、今でも硫黄の匂いが漂う場所があります。現在でも活発な火山活動が行われている、地獄谷(噴気地帯)と呼ばれる場所です。ここが、日本で最も標高が高い場所にある温泉、日本最高所の温泉、みくりが池温泉です。「雲上の湯」は白濁湯で、温泉からは地獄谷も富山市内も海も見える最高の眺めが楽しめます。

なんと立山の火山は、絶景だけでなく温泉まで生み出してくれたのです!


飛騨山脈はなぜ北アルプスと呼ばれるのか?

室堂平の正面にそびえる北アルプスの山々、荒々しくも美しい姿で非常に神秘です。しかしアルプスはスイスにある山なのに、なぜ日本にもアルプスという名があるのでしょうか?

まず、アルプとは、峰、高い山のことで、複数形がアルプスです。そして北アルプスの名付け親は、明治時代に日本政府に招聘(しょうへい)されたウイリアム・ガウランドという化学者です。ガウランドは大の登山好きで、ガウランドがこの山々を見てスイスのアルプスとよく似ていると言ったことで飛騨山脈が北アルプスと呼ばれるようになったのです。

スイスのアルプスとは、高さと規模はまったく異なりますが非常によく似ています。そしてスイスのアルプスも日本のアルプスも非常に美しいです!


立山の地形の不思議

なぜスイスアルプスと立山はよく似た美しい風景なのでしょうか?室堂平にその美しさの誕生の秘密のヒントがあります。

室堂平の平らなところに大きな岩がごろごろしており、中には直径1mを超すものもあります。この岩とアルプスに深く関係があるのです。

黒っぽい岩

こちらは安山岩(あんざんがん)といい、噴火で流れ出た溶岩が冷え固まった岩で、地表でできる岩です。かつて活発な火山活動があったので、安山岩があるのは不思議ではありません。

白っぽい岩

こちらは花崗岩(かこうがん)といい、ドロドロのマグマが地下の深い所でゆっくり冷えて固まる岩です。

なぜ室堂平には白っぽい岩があるのか?

地表でできる安山岩と、地下深い所でできる花崗岩が一緒にあるのは、とても不思議ですね。

室堂平が出来た後に氷河が、花崗岩で出来ている別の山から崗岩を室堂平に運んできたのです。氷河とは、大量の雪が降り積もってでき、自らの重みで動く氷の塊です。動くスピードは1年に数メートルから数十メートルほどで、動く際氷河は山を削り、その岩を下流へと運びます。室堂平の花崗岩は、かつて室堂平に氷河があったことの痕跡でもあるのです。


氷河とは?

ところで、氷河ができるにはどのくらいの積雪が必要なのでしょうか?圧縮されて氷になるので、なんと積雪20m以上必要になるのです。豪雪地帯である立山連峰には、今でも20mの積雪になる場所があります。そして、実は今でも氷河が存在する日本で唯一の場所なのです。

氷河は雪が押し固められているので、空気がたくさん閉じ込められています。そのため氷河は融けるとパチパチと音をさせ、氷から空気が飛び出してきます。以前本で氷河の氷でウィスキーを飲むというシーンを読み、今でも忘れられません。そのときもパチパチと音がするという表現が使われていたと記憶しています。いつの時代の空気が飛び出してくるのかを考えながら、ウィスキーを飲むなんてことしてみたいです。

氷河が立山の景色を生み出した!?

じつは、この私のロマンを運ぶ氷河が、北アルプスを生み出しました。水が削って出来た地形はV字の深い谷になりますが、氷河が削ってきた地形は底をえぐるようなU字のスプーンでえぐったような地形になります。これをカール(圏谷-えんこく)と言います。

これがスイスアルプスと立山の独特の地形となっています。日本の他の山にはない、立山の神秘的な特徴は氷河の浸食でできた独特の地形にあるのです。そして、立山には、山崎(やまさき)カールと呼ばれる天然記念物となっている地形もあります。

そして、スイスアルプスには火山がなく氷河がつくった地形ですが、室堂平は隣に大火山があったので、より多様性のある地形となったのです。


立山にあるもう一つの神秘の場所「弥陀ヶ原(みだがはら)」

立山には他にも神秘が残されています。標高2000m付近から一面に広がる平地は弥陀ヶ原(みだがはら)とよばれる平らな地形です。広さは室堂平の3倍以上もあります。そしてよく見てみると、白く光る池(というか水たまりというか…)が点々とあります。弥陀ヶ原は、3000もの池がある湿地帯で、ラムサール条約(湿地保全のための国際条約)に登録されている中で、日本で最も高い場所にある神秘の湿地なのです。

なぜ神秘かというと、通常、湿地は周りが小高くなって低い所に水が集まり湿地になる、あるいはもともと湖だったのがだんだんと湿地となり草原となる途中の過程などがほとんどです。しかし、弥陀ヶ原は、これらとは違います。

神秘のもと その1

10万年前立山で巨大な噴火がありました、この火山で発生した火砕流は谷間を20km以上にわたって埋め尽くし、溶結凝灰岩ようけつぎょうかいがん)の広大な平地が生まれました。これが弥陀ヶ原の平らな地形です。そのため、弥陀ヶ原は火山性の溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)は火砕流が冷え固まりできる岩石でできています。しかし火山だけでは湿地帯はできません。

神秘のもと その2

標高の高い弥陀ヶ原では冬の間、厚い雪が一面を覆い、初夏まで融け残ります。そのため、枯れた植物の分解があまり進まず泥炭が堆積しています。泥炭は微生物による分解があまり進んでいない寒冷地特有の土のことです。泥炭は湿地を形作る重要な働きをします。泥炭は水を保持する力がとても強いため、大量の水が蓄えられ、湿地帯ができるのです。

火山と大量に降り積もる雪のおかげで、神秘の湿地弥陀ヶ原が生まれたのです!


立山の落差日本一の巨大な滝「称名滝(しょうみょうだき)」

火山と雪は、弥陀ヶ原だけでなく、ほかにも日本一の絶景をつくっています。崖の高さ450mもあり、すっぽりと東京タワーが入ってしまう高さから流れる滝があるのです。

称名滝(しょうみょうだき 標高1000m)といい、落差350mは日本一です。土台となる大地は、弥陀ヶ原を造った溶結凝灰岩で、そこを北アルプスの雪解け水が根こそぎ削り取ってできた滝です。驚くべきはその水量にもあり、なんと毎秒100トンを超えるときもあります。まさに、火山と雪が生んだ、神秘の絶景です。

ところで滝は大地を削ってしまうので、どんどん後退していきます。7万年前の滝は、7kmも手前にありました。雪解け水が溶結凝灰岩の削り続けることによって、現在の位置まで削ってきたのです。要するに10年で1m、1年で10cm滝の位置が後退するのです。そして、その滝が削ってできた場所に滝への歩道があり、圧巻の景観を楽しめます!


立山の日本一/唯一のまとめ

日本で唯一

今でも氷河がある日本で唯一の場所

日本最高所の温泉

みくりが池温泉

日本最高所の湿地(*)

弥陀ヶ原(みだがはら)

(*)ラムサール条約(湿地保全のための国際条約)に登録されているなかで、日本で最も高い場所にある湿地

落差日本一の滝

称名滝(しょうみょうだき)

岩・土のまとめ

安山岩(あんざんがん):噴火で流れ出た溶岩が冷え固まった岩で、地表でできる岩

花崗岩(かこうがん):ドロドロのマグマが、地下の深い所でゆっくり冷えて固まる岩

結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん):火砕流が冷え固まりできる岩

泥炭:微生物による分解があまり進んでいない寒冷地特有の土のこと。


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