あんこの歴史と製造工程の革命があんこを身近なものにした!?最新の映えるあんこの作り方の秘密とは?

最近Instagrumなどで、映えるあんこのお菓子をよく見かけるようになりました。今回は「あんこ」についてひも解いていきましょう!

あんこの歴史

「あんこ」はいつから日本にある?

平安時代から甘い「あんこ」はあったとも言われているのですが、それはあくまで身分の高い人のものでした(諸説あります)。庶民にとっての「あんこ」は、江戸時代までは全然甘くなかったのです!

「あんこ」は漢字で書くと「餡子」と書き、「餡」という漢字には食べ物の中に詰めるものという意味があります。鎌倉時代に中国から伝わったお饅頭のようなものの中に入っていた肉や野菜が餡と呼ばれていました。しかし当時の日本は、基本的にお肉を食べることは避けられていた時代でしたので、お肉の代わりに縁起の良い食べ物としてお供え物などに使われていたあずきを煮て詰めたのです。それが定着していくうちに、餡といえば煮込んだあずきというイメージが定着し、いつしか煮込んだあずき自体を「あんこ」と呼ぶようになったと考えられているようです。

しかし、現在の「あんこ」と決定的に違うところがあります。「あんこ」はお肉の代用品でしたので塩で味付けをしており、しょっぱい食べ物だったのです!


「あんこ」はいつ甘くなったのか?

江戸時代になると砂糖の生産が増えたことで、砂糖を加え甘くした「あんこ」が急速に普及し、江戸時代後期には、もなか、きんつば、おはぎといった「あんこ」の代表的なお菓子が広まっていきました。

「あんこ」作りは重労働!

とはいえ、1960年代頃まで、あんこを使った商品は、和菓子店や甘味処以外ではなかなかお目にかかれない商品だったそうです。そのころのあんこ作りは、ほぼ手作業で重労働でした。特にあんこ職人を悩ませていたのが、砂糖を入れた「あんこ」を焦げないよう1時間以上、ゆっくりと混ぜ続ける工程です。手間がかかり生産量には限界がありました。


あんこの製造工程の革命とは!?

昭和の高度経済成長期に入ると、「あんこ」の製造工程にある革命が起こり、あんこをより身近なものにしました。

大量生産を可能にした画期的な機械とは?

1960年にあんこ業界を、一気に進化させる画期的な機械が開発されました。その機械により、大量生産が可能になり、「あんこ」の生産量が劇的にアップしたそうです。それは、当時機械では不可能と考えられていた「あんこ」の自動撹拌(かくはん)を実現した「あんねり機」の登場です!

それ以前の「あんねり機」は単純にヘラがその場で回転するだけの動きで、焼きムラができ「あんこ」が焦げてしまうことが多かったそうです。しかし、新たに開発された「あんねり機」は、その場でヘラが回転するだけではなく、主軸と羽根軸も同時に回転し、2つの回転を組み合わせ全体を混ぜることで、くまなく釜全体を混ぜることで焦げ付きを防止できるようになったのです!

60年前に機械で全体をムラなくかき混ぜる技術はまさに画期的で、完成までには約10年の歳月がかかった技術でした。

この「あんねり機」の開発で、スーパーやお土産物店に、あんこ菓子が並ぶようになるなど、あんこ商品の販路拡大につながったのです。


家庭でのあんこ作りを激変させたある商品とは?

今ではスーパーで売っているのが当たり前のあんこの缶詰ですが、普及し始めたのはこちらも、1960年頃からです。それ以前にも缶詰は販売されていたのですが、砂糖液にあずきを漬ける製法が主流で、あずきに甘味が染みこんでおらず、一般家庭にはあまり普及しなかったのだそうです。

しかし進化した缶詰は、 あずき自体に甘味がしっかりと染みこむ製法で作られ、しっとりとしたあんこ本来の甘さを実現しました。缶詰の進化で手軽に購入出来、家庭料理で手軽に「あんこ」を楽しめる時代になりました。


最新映えるあんこの作り方の秘密とは?

ここ数年でさらに進化し、進化系と呼ばれるあんこが次々と登場しています。

ラムネ味のあんこ!?

たとえば、兵庫県のあんこメーカー(製餡工場)では、ラムネ味をはじめ、様々な飲み物の味のあんこがあります!

これまでは「あんこ」にジュースなどの液体を混ぜても、豆を加熱するという「あんこ」の製法上、液体が蒸発してしまい、ジュースなどの味付けのあんこの製造の実現しませんでした。しかしこちらの会社では、耐熱ゼリー状にした液体を「あんこ」に混ぜるという製法で、飲み物とあんこを合わせることに成功したのです!現在キャラメルマキアート味、赤ワイン味、芋焼酎味、ダージリンティー味、シャンパン味などラインナップは約520種類!

スライスチーズ感覚で使えるあんこ!

また、京都市下京区の亀屋良長のは、「スライスようかん」という画期的な商品が販売され、人気商品となっているそうです。こちらは、薄いシート状の丹波大納言小豆の粒あん羊羹に、沖縄の塩を効かせたバター羊羹とケシの実がトッピングしてあり、これをトーストにのせて焼くだけで、手軽”小倉バタートースト”が楽しめます。

息子さんが朝食にパンに「あんこ」を乗せて食べているのを見て女将が考案した商品とのことです。


現代でもあんこの製造工程には職人技が欠かせない!

街で売られている、たい焼きや今川焼の「あんこ」を製造しているあんこメーカーでは、大きな釜であずきを100度で加熱し「あんこ」を製造します。加熱中は人間が「あずき」のうまみを逃さないように見張っています。少しの変化も見逃せないので、かなり神経を使う作業のようです。

あずきは煮ることであずきの苦味や渋みを取り除くことができるのですが、火加減を間違えるとうまみが逃げてしまいます。その日の気温や天候やあずきの状態などで、加熱時間を調整しうまみを逃さないギリギリのタイミングで火を止めます。釜の中のあずきの踊っている感じで判断するのですが、この作業は機械に頼ることはできず、人間が経験を積むしかありません。一人前になるには早くて5年、向いていない人は一生かかってもできない作業ということで、機械化された「あんこ」の製造にも職人技が詰まっています。

工場で大量生産されるとはいえ、今でも職人さんの技が、おいしい「あんこ」を作る秘訣なのですね。


おまけ:使用用途で異なる「あんこ」

また、あんこの使用用途に応じて砂糖の量や水分量を調整するそうです。たとえば、もなか用の「あんこ」は糖度66度と甘めで水分量は少なめにし、もなかの皮のパリパリ感を保てるようにします。これに対してたい焼きの「あんこ」は、糖度が45度と甘さ控えめで、水分量が多くやわらかで、たい焼きの頭からしっぽまで、あんこが伸びていきわたるようにします。

おまけ:「つぶあん」と「こしあん」の作り方の違い

「つぶあん」は、あずきを煮て、砂糖と練り上げて完成させるため、あずきの皮が入っています。

「こしあん」は、あずきを煮たあと網で濾し、皮を取り除き、砂糖と練り上げて完成させるので、「つぶあん」にくらべあずきの皮がかなり少ないです。


関連リンク

あんこを使った「あんぽん」の歴史については、下記リンクでひも解いています!

日本のパンの歴史とは?日本独自の柔らかいパンはどのように生まれた?法事パンとは?



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