方広寺の大仏は秀吉の幻の大仏、そして現在も観光名所の鎌倉の大仏。秀吉の京都の幻の大仏と鎌倉の大仏それぞれの大仏が造られた理由とは?

1998年12月に世界遺産に登録された「古都奈良の文化財」の中の一つ東大寺の奈良の大仏ですが、戦国時代1567年に大仏殿が炎上してしまいました。奈良の大仏については下記リンク先をご参照ください。

日本最初の本格的な仏教寺院にある日本最古の大仏と、世界遺産の一つ奈良の大仏について

その後、時の権力者である豊臣秀吉(1537-1598)は、奈良の大仏を修復するのではなく、新たに京都に大仏を造りました。今はその大仏は現存せず幻の大仏となってしまいました。その京都の幻の大仏についてひも解いていきましょう。

方広寺の大仏は秀吉の幻の大仏

豊臣秀吉が造った大仏の像高は19mもあり、現存時の大仏殿は日本最大の木造建築でした。豊臣秀吉は、なぜあえて京都に仏像をつくったのでしょうか?

豊臣秀吉が権威を誇示するために、当時日本最大の木造建築ともいわれています。しかし「太閤記」には、「秀吉公聚楽(じゅらく)におはしましければ、弥々洛中洛外にぎはひ侍るやうに、あらまほしくおぼし給ふて、東山に大仏殿を建立し給ふ…」という記述があります。豊臣秀吉は、京都の町と町の人達のために大仏を造ったとも考えられます。豊臣秀吉は、戦乱で焼けた京都の町をつくりかえて活性化させたのです。特に天正の地割では、京都の町に新たな通りを建設し、町割りを変更することで、人が多く住めるようにしました。豊臣秀吉の京都に対する思いがそうさせたのだと思います。

豊臣秀吉の大仏の造り方1

上京や下京から町民約2000人ずつぐらいの人を駆り出し、酒と酒の肴をふるまい、太鼓と笛ではやし京の民を躍らせ地固めをしたと伝わっています。私が町民だったら、頼まれなくても参加したです!

豊臣秀吉の大仏の造り方2

刀狩りの刀を大仏殿の鎹(かすがい)に使うとし、刀を提供させました。「現世だけでなく、来世でも救われる」と言われれば、提供したくなりますよね。


豊臣秀吉が造った京都の幻の大仏は、そのような姿だったのか?

大仏殿跡緑地近くの方広寺(ほうこうじ)(京都市東山区)にある盧舎那仏坐像(1801年)が、豊臣秀吉が造った京都の幻の大仏の1/10の大きさで造られていると言われています。

豊臣秀吉が作った京都の大仏は、なぜ現存しないのか?

豊臣秀吉が、平和と繁栄を願い造った京都の大仏は、1596年地震により倒壊し、その後数回(3回)再建されましたが、焼失し幻となってしまいました。

豊臣秀吉の幻の大仏を偲ぶ食べ物

かつての大仏殿の門前に店を構える「京の大仏餅処 甘春堂(かんしゅんどう)」には、今も江戸時代と変わらぬ味を守り続ける大仏餅が今でも売られています。上品な甘さ 滝沢馬琴も旅行記のなかでとてもおいしかったとほめている大仏餅です。像高19mの豊臣秀吉の京都の大仏は幻になってしまいましたが、未だに地名や大仏餅として残っているのは、京都の人々が京都の大仏を愛していたからではないかと私は思います。


鎌倉の大仏

豊臣秀吉の京都の幻の大仏だけでは、物足りないので鎌倉の大仏についてもひも解いていきましょう。

鎌倉と言えば、鎌倉殿 源頼朝ですが、鎌倉の大仏造りには源頼朝(1147-1199)は関与していないそうです。というのも、鎌倉の大仏の造立は頼朝の死後半世紀近くたってからと言われているからです。鋳造開始は1252年です。、

鎌倉の大仏概要

国宝である鎌倉大仏 銅造阿弥陀如来坐像(鎌倉時代)の像高さは11.3m、重量約121tです。奈良の大仏と同じく造立当時は全身に金が施されていたそうで、お顔にその名残が残っています。現在は大仏殿が無いにも関わらず、未だに金が施されていた名残が残っているという事実には驚いてしまいます。

鎌倉幕府の中心である北条氏が必要とし、鎌倉の大仏は造立されたのではないかと考えられています。朝廷には聖武天皇が造った奈良の大仏がありましたが、新しく日本の支配者となった鎌倉にはまだ仏教の中心となるべく大仏がなかったため、事実上の日本の首都となった鎌倉に新しい大仏が必要となったのです。

国の安泰を願い都の中心に造られた奈良の大仏ですが、鎌倉の大仏は新しい政治と仏教の象徴となっていき、権力者が政治的目的に利用し始めることになったようです。

下記リンク先でも鎌倉の大仏についてご紹介していますので、ぜひご参照ください。

鎌倉 鶴岡八幡宮の裏で起きたおやつ騒動とは?鎌倉の大仏様に3年に一度贈らるものとは何?


全2回でご紹介した大仏の概要

奈良の日本最古の大仏       609年/像高2.75m/釈迦如来坐像/飛鳥寺

奈良の大仏                      749年/像高14.98/盧舎那大仏/東大寺

鎌倉の大仏                  1252年/像高11.3m/阿弥陀如来坐像/高徳院

京都の幻の大仏                1595年/像高19m/盧舎那仏坐像/方広寺

 

 

 

 



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